SAPの全体像

SAPの全体構造

ERPパッケージの構造

 SAPのERPパッケージには基幹業務処理を目的とした業務モジュール別の
 標準プログラムが用意されている。
 その中から自社の業務処理にあったプログラムを選んで使用する。
 

モジュールの概要

モジュールの全体構成

 モジュールは特定の業務に関する、複数の機能をまとめたプログラムの集まりです。
 ロジ系、会計系、人事系、分析系に分けられて用意されています。

 ・ロジ系
  調達、在庫管理関係、生産関係、販売関係
  ※ロジはロジティクスの略。調達、生産、保管、輸送、販売までを一貫して管理する
   過程や業務のこと

 ・会計系
  財務会計、管理会計
 
 ・人事系
  人事管理、人材管理、勤怠・給与計算など
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SAPと財務会計

  財務会計は、財務諸表上の棚卸資産の評価額の算定や税務調査対応、公認会計士対
 応など、外部に対する公表を目的として処理される。自動仕訳またはマニュアル入力した
 会計伝票をもとに、総勘定元帳(GL)に記帳する。合計残高試算表から賃借対照表(B/S)
 損益計算書(P/L)を作成、利益などを計算する。
  

SAPのFIモジュール

 財務会計はFI(Financial Accounting)というモジュールを使用して実現します。
 総勘定元帳(GL)、債権管理(AR)、債務管理(AP)、固定資産(AA)特別目的元帳(SL)
 から構成されている。
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SAPと管理会計

 管理会計は、会社の内外のプロセス上のムリ、ムダ、ムラの排除や時間短縮を図ることで
 生産性の向上を目指すとともに、利益の予測や損益分岐点の管理など内部管理を目的とした
 もので、「経営者のための会計」と言われている。
 COというモジュールで実現しています。
 

ロジスティクス

 「会社の基幹業務」と言われてなくてはならない機能です。
 

ロジスティクスの基幹業務

 ◆販売管理
  仕入れ先から原材料や商品を仕入れる

 ◆生産管理
  仕入れた原材料や機械設備、人員などを使用して製品を作る業務

 ◆在庫管理
  仕入れた原材料や作った製品の在庫を管理する

 ◆販売管理
  作った製品を得意先に販売する

SAPと内部統制

 内部統制は経営者の思いを実現するために、経営管理に組み込んで実現します。
 経営者、監査人が内部統制がうまく運用されているか確認します。
 SAPでは統制機能を組み込んで実現できるほか、監査人などが確認するメニューを用意できます。

内部監査と監査人

 内部統制に携わる監査人は、社員が社内の業務処理規定や法規定、金融商品取引法、会社法
 システム監査・管理基準、情報セキュリティ監査・管理基準、ISMS要求事項などを遵守して
 いるかをチェックしています。
 監査人は以下の種類があります。
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 ◆内部監査人
  業務処理が規定通りに業務が遂行されているかチェック

 ◆会計監査人
  会計処理が正しく行われているかチェック

 ◆システム監査人
  IT統制が正しく行われているかチェック

 ◆ISMS審査員
  ISMSの要求事項に沿って運用されているかチェック

 ◆情報セキュリティ監査人
  情報セキュリティ監査、管理基準と照らし合わせて確認
 
  

SAPと環境構築

 SAPを使用するにあたって、IT基盤を構築する必要があります。
 SAPのプロジェクトでは、環境構築をBasis担当が行い、その中にパッケージや
 DBをインストールしていく。
 サイジング、パフォーマンスチューニング、ログの監視、データのバックアップなども行う
 

開発環境の構築

 Basis担当は開発環境の構築を行います。
 その中にパッケージやDBをインストールし、SAPコンサルタントがパラメータ設定を行い
 移行担当者がマスターのセットアップを行います。
 開発者はこの環境を使ってAdd-onの開発を行います。
 

モジュールによるカスタマイズ

 各モジュールを使用するにあたって、事前にマスターの登録作業のほか、
 パラメータの設定が必要。このパラメータ設定のことを「カスタマイズ」という。
 

モジュール共通のパラメータ

 モジュール共通のパラメータは以下の通り。
 ①国コード
 ②国情報
 ③通貨コード
 ④数量単位
 ⑤タイムゾーン
 ⑥税コード
 ⑦税率など
 

組織構造の定義パラメータ

 会社コードや会社情報、事業領域、管理領域、プラントなどが組織構造にあたる。
 これらのパラメータを設定する前に組織構造の定義を行う必要がある。
 全社で使用する共通コードとなるので、全社的視点で定義する必要がある。
 

モジュールごとのパラメータ

 使用するモジュールについて個別にパラメータを設定します。
 FI(財務会計)モジュールでは、以下のパラメータを設定します。
 
 ①会計年度バリアント(決算月など)
 ②事業領域別の財務諸表を作るかどうか?
 ③会計伝票タイプ
 ④会計伝票番号範囲
 ⑤消費税コードと税率